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2011年2月23日 (水)

就職活動の何が問題なんだ

 大学新卒予定のみなさんの就職活動がはかばかしくなく、そもそも今の就職活動のあり方に問題があるだろうということで経団連が採用時期の見直しを段取ったりしているようですが、これはとても不思議な感じ。

 なかなか定職がみつからなくて困る、というのはわかる。勉強やってんだか職探しやってんだか半端な状況のやりづらさ、もわかります。だけど、「就活」が問題というのは…「就活」自体は、いろんな要素(不況、企業の雇用スタイルの変化、大学生の増加、ゆとり教育、労働市場のグローバル競争化、就職活動自体の歴史的経緯、etc.)が影響しあってできたところに表出している「現象」であって、これ自体が「問題」というのは私から見るとヘン。

 そういえば「就活くたばれデモ」というのもあったね。あれも、いい悪いというより、すごく奇妙に見えた。国会の前で「不景気くたばれデモ」をやったり、デパートの受付で「幸せはどこで売っていますか」と聞くのと同じで、実体的な意味をもたないよねえ。
 だからこのデモは無意味なんだ…というのは簡単だけれど、じゃあ学生は本当には何を考えていたのか…は、正直よくわからない。単に大声を出したかったのかもしれないし、何とかなんねえかなという雨乞いのようなものだったもしれない。まあ、とにかく社会に対する抗議なので「デモ」という形をとってみました、ということなのかも。

 いじわるな見方をすれば、悪い意味での学生らしさで、自分たちは「悪さ」を指摘するから、社会の誰かが何とかして直さないだろうか、いや直すべきだ!という甘えた感性で、そうはいっても本音ではそりゃあ通らねえよなと思っていて、人に聞かれたら「まずは声をあげることが重要」とか「ネタで騒いでただけじゃん」のレトリックを用意しています…ということかもしれない。いや、本当によくわからない。

 ただ逆によくわかるのは、上の世代の人間が「そんな行動意味ないよ」「甘えないで就職活動しなさい」と言い出したら、まあふざけるなと思うよね。自分はラクしといて一体どの口が言うんだというところでしょう。それはそのとおりで、だって偉そうなこと言ってる先輩方も、いま就職活動する立場になったら全然内定もらえないで同じような愚痴ばっかりになるに決まっているから。
 なにしろ、いい会社に行けない、じゃなくて就職できないんだから。中小企業に行けば求人はあるよという言い方もあるんだけれど、もう少し精密に言うと「大企業は狭き門で入れない、中小企業は危なくて入る気がしない」ってことでしょ。それはけっこう普通の判断じゃないのかねえ。というか繰り返して言うと、お父さんたちがその立場になったら同じ判断をするんじゃないの。
 まあ、グローバリゼーションで競争環境が変わってしまって、企業から見れば、昔は採用予定枠が優秀な人間で埋まらなかったら仕方なく出来の悪い奴も採って育てていたのが、今はできない奴を雇っても仕事が(日本人の給与に見合ってかつ彼にやらせる仕事が)ないから採用予定を埋めることもないだろうし、学生から見れば日本の中小企業なんていつどうなるかわからないし「一応」会社に行くくらいなら親元で飯食わせてもらいながら様子をみましょう、となってるんではないのかね。時期が来たからみんながみんな身を固めるっていう時代じゃないんだろうねえ。いや、レトリックではなく結婚も同じような現象になってるのか。
 まあ、そういうご時世であることは、もうどうにもしようがなくて、誰だってその立場に立てば・・・

 その立場に立てば誰だって苦労するんだよ、というのは、言い換えれば「運がなかった」ということになります。なので神ならぬ身では如何ともしがたい。というのはさすがに諦めが早すぎるので、最初に書いた通り困りごとがあるのは明らかなので何とかしたいわけですが、その議論が時期だとか交通費負担だとかのディテールに一足飛びに落ちてくるのが、これまたすごい違和感です。最初の違和感と同じで、目の前の現象がクローズアップされすぎで、もっと根本になにかあるんじゃねえかと思うわけですよ。

 たぶん、順番としては学校に通って次に仕事に就く、その一連の流れがキャリアパスとしてスムースにつながっていかない(コース、ステップ感が見えていない)ことがそもそも問題なんだろうと思います。え?キャリアパスってのは就職してから始まるの?って、その発想が畸形的だと言いたいわけです。大学ってのは何のためにあるんだっけ。就職予備校か、いやいや学校でしかできない学問やモラトリアムのための時間で、その後の職業生活とは隔絶しているものなのか。それでもいいけどさ、大体のひとが就職を目指すとすると、その前の4年間はそれとは関係なく過ごすのがマジョリティです、というのは私は外国の方によう説明しません。ヘンだと思うよ。

 だから、なぜ新卒採用が既卒より優遇されるのか、そもそも卒業してない人間の採用を控えるのはなぜか、いまいち根拠薄弱というかもともとあった背景自体が失われてきているんでしょうね。改めて学校と仕事との関係を再定義しないと、この件に関して学生の(そして実は企業側も、だと思うけど)モヤモヤ感は消えないと思います。
 が、そんな悠長なことを言っている間に経済環境の変化のほうがはるかに早く動いてしまうので、もし私が今年就職活動をする破目になっていたら、国内でやれることはやりつつ、しょうがないから英語の勉強をしなおすんでしょう。大変だよね、本当。年寄りが言ってもアレだけどさ。

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