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2010年10月16日 (土)

hybrid賛

ボールペンはゲルインキのぺんてる「hybrid」が最高だと思い、ずっと愛用している。

透明を基調に少しだけインクの色に合わせたアクセント(キャップのロゴ、頭部の丸い突起、滑り止め)のシンプルなデザイン、グリップの感触(滑り止めの引っ掛かりもいい)、そして硬過ぎず軟らか過ぎずの書き心地。色気のある描線のテイストも唯一無二のものである。ボールペンの線なんて全部同じだと思っているひとがいたら、10倍にコピーで拡大してみるといい。
更に付け加えれば、hybridはペン回しに極めて向いている。インクを三分の二くらい使った状態でキャップを頭の方に嵌めるとベストというのが私の感覚である。

これに一度はまってから、正直他のボールペンは使う気がしなかった。0.3mm以下のものはいかにも弱々しく、ゲルインキが本来持っているマットな充実感に欠ける。ウリが「なめらかな書き心地」と言うのに至っては、失礼ながら皆様小学生なんであろうか。摩擦のないことがそんなに嬉しいかね。日本人が線の細い幼稚な民族になってしまったことがこの一事を取ってもよくわかろうというものである。
そんなわけで、中学以来なにを書くにも可能な限りhybridを使ってきた。テストの時も使っていたから、書き間違えるとかなり大変だった記憶がある。
その後に新しいボールペンが次々と発売され(私にはすべて「hybridの二匹目のドジョウ狙い」としか思えなかった)、たまにhybridを凌駕する書き味のものがないか文具店で試し書きをしてみるが、いまもって多少でも比肩しうると感じるものすら見たことがない。

しかしながら、いまやhybridは完全にマイナー商品であり、多分トップシェアはパイロットの「HI-TEC-C」だろう。ぺんてるの現在のゲルインキボールペン主力商品は「Slicci」であり、hybridはホームページのカタログにすら載っていない。なお「Slicci」は明らかに「HI-TEC-C」の路線を後追いしており、性能はともかく志としては極めて残念と言わざるを得ない。

かつてはボールペンコーナーの半分を何十色ものhybridが占めていた。あの頃が頂点だった。一本づつでも全色買っておくべきだった。実家の部屋の抽き出しには何本か残っているだろうか…いや、もう全て終わった話だ。かつてのhybridの場所にはHI-TEC-CやゼブラのSarasaが色とりどりにひしめき、hybridは隅で青・赤・黒の三色が肩を寄せあうようにひっそりと並んでいる。気をつけなければ見過ごしてしまうその姿を見ていると、他人事とは思えないのである。
隅っこの小さな場所にいる、とは、マイノリティであるということである。そして、マイノリティであるということは…その先は長くなるうえ私の言語能力が届かなそうなので、ここで筆を擱くけれど、書いてるうちに発売終了してしまわないか心配になってきたので、近いうちにリフィル(替芯)を100本くらい買ってこようと思う。

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